2026年06月04日
未来型医療創造卓越大学院プログラム生
生命科学研究科脳生命統御科学専攻(博士2年)
加賀 ひかり
名称:未来型医療創造卓越大学院プログラム 合同メンタリング
開催日程:2026年5月27日(水)13:00~14:00
メンター:味の素株式会社 取締役 白神 浩先生
形式:対面
ファシリテーター教員:平山 英幸(医学系研究科)
参加学生:プログラム5期生 加賀ひかり、8期生 岡田瑞花
5月27日に開催された、味の素株式会社 取締役 白神浩先生との合同メンタリングに参加しました。
今回のメンタリングでは、味の素グループにおける研究開発や事業展開、ASV(Ajinomoto Group Shared Value)の考え方、さらに白神先生ご自身のご経験をもとに、研究者としてのキャリアや、科学技術を社会価値へつなげる姿勢についてお話を伺いました。
特に印象に残ったのは、味の素グループが掲げる「アミノサイエンス」を軸に、社会価値と経済価値を両立させようとする姿勢です。企業活動においては、単に技術や製品を生み出すだけでなく、それが誰のどのような課題を解決し、どのような未来につながるのかを考え続けることが重要であると学びました。白神先生のお話からは、グルタミン酸ナトリウムの発見に端を発する味の素の歴史が、現在の医薬・ヘルスケア領域やライフサイエンス事業にもつながっており、長く受け継がれてきた企業のDNAが新たな価値創造の土台になっていることを感じました。
また、研究者のキャリアについてのお話も大変示唆に富むものでした。白神先生は、幼少期から科学者を志し、大学では有機合成化学の研究に取り組まれた後、企業において研究開発や事業化に携わってこられた先生です。アカデミアと企業の違いについて、大学では発見そのものに大きな価値がある一方、企業では多くの人を巻き込み、技術を社会に役立つ形へと展開していくことができるというお話が印象に残りました。基礎研究であっても、その成果をどのように社会課題の解決へ結びつけるかを考えることが重要であり、自分自身の研究や将来のキャリアを見つめ直すきっかけとなりました。
さらに、イノベーションは一人の研究者の力だけで生まれるものではなく、異なる専門性を持つ人々が連携し、技術をスケールアップしていく過程で実現されるという点も強く心に残りました。製薬企業、自社、海外企業などがグローバルに連携しながらプロジェクトを進めるお話から、専門分野や国、文化の違いを越えて協働する力の重要性を強く認識しました。良い技術を持っているだけでは不十分であり、それを必要とする人に届ける仕組み、事業として継続させる仕組み、そして共通の目的に向かって多様な人をつなぐ力が必要であると考えることができます。
今回のメンタリングを通して、基礎研究として未知の生命現象を明らかにすることに大きな魅力を感じる一方で、その知見を将来的にどのような形で人や社会に還元できるのかを考えることの重要性も改めて実感しました。今後は、自分の研究の専門性を深めるだけでなく、それがどのような社会価値につながり得るのかを問い続けながら、異分野の人々とも協働できる研究者を目指したいと考えます。
今回貴重なお話をいただきました白神浩先生、ならびに本メンタリングの機会を設けてくださった関係者の皆様に深く感謝申し上げます。

