未来型医療創造卓越大学院プログラム

みんなで未来の医療を

 大学院教育は大きく変わり、所属する研究室での研究と博士論文作成だけではなく、大学院プログラムといわれる学びの場が作られています。私たちの「未来型医療創造卓越大学院プログラム」は、2018年に文部科学省の卓越大学院プログラムに採択され、2019年度より中山啓子初代プログラムコーディネーターのもと始動しました。データとテクノロジーを駆使して未来社会の医療を開発し、国際的にインパクトのある課題を解決できる優れた人材を養成しています。
 プログラム生たちは研究室で得た視点や成果を広げ、異分野の大学院生と融合して異なる領域との連携や社会実装を推進しています。これまで17名の修了生を輩出し、2019~2023年の5年間で論文数119本、日本学術振興会特別研究員14名、知財5件、起業4件と大きな成果をあげています。
 私たちは現在の医療・医学の様々なシーンの課題抽出と解決手法、そしてリーダーシップをもって10年、20年後の医療を想像・開発するための学びを用意しており、新たな研究や社会実装のアイディア実現も後押ししています。
 ・医学系の教授陣から基礎医学-臨床-社会実装のプロセスを学べる
 ・社会の第一線で活躍している企業のリーダーと出会える
 ・企業・行政・大学の連携を促した起業を達成できる
 ・医療現場での課題を抽出して解決方法を考えることができる
 ・ブレインストーミングやバックキャスト思考をトレーニングできる
 ・研究費獲得や学術英会話のスキルアップができる
 ・研究分野の異なる仲間と、未来について真剣に語り合うことができる
 学位研究とプログラムでの活動を両立するための支援として、9つの研究科から選ばれた教務委員、大学院修了まで並走してサポートするファシリテーター教員、履修や事務的なことを相談できる推進室、そして研究に集中するための経済支援も行っています。
 大学院時代に様々な研究室の学生同士が融合して活動できる本プログラムに参加し、充実した学生生活を送り、プライドと意欲をもって社会に飛び出してくことを期待しています。

プログラムコーディネーター医学系研究科麻酔科学・周術期医学分野 教授
 山 内 正 憲

教授 山 内  正 憲

自ら課題を発見し、解決へと導く力を

 初代プログラムコーディネーターの中山啓子です。
 本プログラムは、2018年に「文部科学省 卓越大学院プログラム」に採択されてスタートし、今年で第7期生を迎えることとなりました。この間、東北大学の教職員のみならず、学外の多くの方々が本プログラムに関心を寄せ、温かいご支援をいただきました。その支援に応えるように、多くの学生が成長し、数々の成果を生み出してくれたことを、心から嬉しく、またありがたく思っています。
 私たちは「未来型医療」を、データ(Data)と技術(Technology)を活用して社会(Society)の課題を迅速に解決する医療と定義し、医学の枠を超えた視点から医療を俯瞰し、社会実装を見据えた人材の育成に取り組んできました。そのために、教育の三本柱を掲げています。
 第一の柱は、医療現場への直接赴くことです。大学病院や地域の病院を訪問し、現場の方々との対話を通じて、医療の課題を自ら発見することを目的とした研修を実施しています。ここでは、単なる見学を行うのではなく、課題を言語化し、異なる専門分野の学生や教員と議論を経験する場でもあります。
 第二の柱は、企業の第一線で活躍する方々との対話です。社会のさまざまな分野で活躍する方々にご協力いただき、セミナーでのご講演だけでなく、学生との個別または少人数での対話の機会も設けています。大学で出会う社会人の多くはアカデミアに属していますが、学生の中にはそれ以外の進路を志す者も少なくありません。こうした対話を通じて、学生の視野を広げ、研究やキャリア形成に新たな刺激を与えることを目指しています。
 第三の柱は、複数教員による支援体制の構築です。教員にはコーチング研修を受ける機会を提供し、トレーニングを受けた教員がファシリテーターとして学生を支援しています。学生に気づきを促し、挑戦的な活動を後押しすることを重視しています。また、これは教員にとっても大きな学びと成長の機会となっています。
 このような取り組みが身を結び、いくつかのスタートアップ企業が学生の中から産まれ、またこれまでの修了生が参加してこなかった業界での活躍も見られています。この7年間で、社会は大きく変化しました。自ら課題を発見し、解決へと導く力を持つ人材となれば、どのような時代となっても、社会に貢献し、自らの世界を拡げていくことができると思っています。今後も学生・教員・学外の支援者が一体となって、力を育んでいきたいと考えています。

初代プログラムコーディネーター(2018-2024)医学系研究科 がん医学コアセンター・細胞増殖制御分野 教授
 中 山 啓 子

 中 山 啓 子
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