未来型医療創造卓越大学院プログラム

2026年01月08日

セミナーニュースレポート

12月17日(水) FM DTS融合セミナー 株式会社カルディオインテリジェンス 共同創業者 波多野薫先生講演会「日本における SaMD(プログラム医療機器) スタートアップの課題と挑戦 ~カルディオインテリジェンスにおける挑戦事例~」を開催しました

12月17日(水)18:00-19:00、未来型医療創造卓越大学院プログラム FM DTS融合セミナー(共催:臨床研究推進センターバイオデザイン部門)株式会社カルディオインテリジェンス 共同創業者、R&D担当 波多野薫先生の講演会をオンラインにて開催いたしました。

今回の講演では、SaMD(プログラム医療機器)スタートアップが直面する課題とその対応について、また、スタートアップにおける関係の質・対話の重要性について解説いただきました。SaMDは病気の診断・治療・予防を目的としたソフトウェアを指し、市場の成長が期待されている一方、日本では開発状況が少ない現状にあります。

はじめに、SaMDスタートアップが直面する特有の課題について説明いただきました。資金調達では高いIRR(内部収益率)や黒字化の達成が要求される一方で、臨床試験や承認などを経てプロダクトを市場に出すまでの開発期間の長さ、市場規模等の予見性の低さがSaMDスタートアップのスケーラビリティにおける障壁となることをお話しいただきました。

この課題への対応策として、シナジー効果を生み出すための、医療機関や国内市場を超えた海外市場や非医療機関などの複数のパイプラインの構築や、長期的な視点に立った短期・中期・長期それぞれにおける戦略の形成をご紹介いただきました。特に、短期の開発では、「誰の、どのような意思決定に役に立つのか?」、利用場面などのイメージを詳細に形成することが重要であるそうです。

続けて、スタートアップで良いチームを作る上で重要な関係の質と対話の重要性について、波多野先生のご経験も交えてお話しいただきました。講演では「思考の枠」と「組織の成功循環モデル」についてご紹介いただきました。

私たちの思考のパターンは、知識や価値観に関する既知の領域、「思考の枠」に影響を受けて、「自分のやり方が正解である」と捉えがちになります。知識・経験・企業カルチャー等、バックグラウンドの異なる人々が必要となるスタートアップでは、この「思考の枠」が重なりにくくなります。イノベーションを実現する上で、チームメンバーが異なる知識・経験を持っていることは重要ですが、一方で、この思考の枠の存在でチームメンバー間の関係性が悪化すると、イノベーションを実現するための力を削いだり、組織が成長する上での壁になるそうです。

更に、組織の成長における重要な概念として「組織の成功循環モデル」をご説明いただきました。組織が優れた結果を出し続ける上では、メンバー間の関係の質を高め、建設的な対話や提案を活発にすることで、お互い相乗効果の相乗効果によって結果の質が高められることで、より関係の質が高くなるというサイクルを生み出せることが必要であるとお話しいただきました。

この関係の質を高めるためには、活発な対話などの主体的行動が必要となります。そこで、ボトルネックとなるのが「思考の枠」の存在です。「自分の正解は他者の正解とは限らない」という視点を忘れずに、共感・尊重・信頼をベースとした対話や行動によって自分を変え続けることが、「思考の枠」を超えて、関係の質を高める上で重要であるとお話しいただきました。

新しい価値を創造し、フロンティアを開拓するスタートアップが成長するための課題への対応や、自己の思考のみに捉われず、他者との対話を通して変わり続けることの重要性についての知見を深め、学びの多い時間となりました。

本講演会は、卓越大学院プログラムに参加する学生の他、企業の方を含む幅広い領域から学内外336名の方々にご参加いただきました。

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