未来型医療創造卓越大学院プログラム

2021年05月24日

セミナーレポート

4月28 日(水)FM DTS 融合セミナー スタンフォード大学 バイオデザインプログラム ディレクター 池野文昭先生 講演会「医療のデジタルトランスフォーメーション」を開催しました

4月28日(水)18:00-19:00に、未来型医療創造卓越大学院プログラム(共催:臨床研究推進センターバイオデザイン部門)FM DTS 融合セミナー 池野文昭先生(スタンフォード大学バイオデザインプログラムディレクター)の講演会をオンラインにて開催致しました。

今回のご講演では、“医療のデジタルトランスフォーメーション”として、これまでの課題である、社会保障費高騰、健康意識向上、少子高齢化社会、センサーテクノロジーの進化、IoT技術の進化、デジタルリテラシー向上が、COVID-19の出現により医療のデジタルトランスフォーメーションという形で課題解決の方向に一気に加速したということを述べられておりました。
約9年前より、アメリカの公的保険(CMS)は約2500の医療機関に対して、退院後30日以内に再入院した場合、その病院に対しペナルティを科し、結果としてクオリティの低い病院は倒産し、クオリティの高い病院が生き残るというシステムを作ったとのこと。

退院した患者を再入院させないためには、自宅でのコントロールが重要であり、そのために自宅にいても日々のバイタルデータをモニタリングし、そのデータを医師がチェックし何か異常が見つかった場合、患者にフィードバックできる環境を整える必要があります。そしてこのCOVID-19によるパンデミックにおいて、増々遠隔診療の必要性は病院・患者ともに高まり、ICTやAIといった技術を使ったデジタルトランスフォーメーションが加速したと述べられておりました。
その結果、レストランがUber Eatsに、百貨店がAmazonになったように、病院においても建物が必要なくなり、バーチャルホスピタルにとって代わるという、同様の社会現象が起きているとのことで、DX=効率性の向上×新たな価値という式を示され、その課題のクリアが必須となる、まさにデジタルで解決すべきペインポイントが明確であることが新たな価値につながるとのことでした。

学生からの質問では、「現場観察ではつい効率化に重点を置き、Who payの部分をクリアできない。新しい価値を生み出すうえでどんなマインドセットが必要か?事前に想定していたニーズ以上のデータが集まってきた場合どのようにピボットチェンジの戦略を練ったらいいのか」という質問があり、池野先生からは「ピボットチェンジの必要性は社会がそれを求めているのかということに依存する。どんなアンメットニーズが新たに生まれてくるか社会の潮流にアンテナを張っておくことが重要。」とお答えいただきました。

本講演会は、卓越大学院プログラムに参加する学生の他、企業の方を含む幅広い領域から学内外500名の方々にご参加頂きました。

池野先生、ご講演ありがとうございました。

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