未来型医療創造卓越大学院プログラム

2023年03月27日

レポート成果発表

欧州Deep-Tech entrepreneur programに参加(2/4-17 粕壁幸恵)

未来型医療創造卓越大学院プログラム生
医学系研究科医科学専攻(博士2年)
粕壁 幸恵

 

現在IT(Information Technology(情報技術))は実に様々な分野で活用されています。多種多様な情報を扱う医療業界においても、将来的にさらなるITの応用は必要不可欠です。しかし医療業界ではそのIT活用の遅れが現在問題となっています。その原因の一つとして、医療現場への活用には専門知識が必須であること、そしてそれにも関わらずIT技術者を含めた他分野の方と医療従事者が意見交換する機会が少なくそれぞれの分野についての知識が不足していることが影響していると考えられます。
そのような現状を打破し「未来型医療」を「創造」することを目的の一つとして開始されたのが、「未来型医療創造卓越大学院プログラム」だと考えています。

今回はその未来型医療創造卓越大学院プログラムにてサポートいただき、普段の研究活動や医療現場では学べないDeep techやDXについて学ぶため「欧州Deep-Tech entrepreneur program」へ参加してきました。Deep techとは「世の中に深く根ざした問題(Deep)を解決できる技術(tech)」、DX(Digital Transformation)とは「進化したIT技術を浸透させることで、人々の生活をより良いものへと変革させるという概念」のことです。
今回のプログラムではそれらの基礎を学ぶと同時に、国際交流を通じて学ぶことでその重要性を国際的視点で客観的に認識することができました。

この2週間のプログラム(2023/2/4~17)では、フランス(パリ)、エストニア(タリン)にてそれぞれ1週間の現地研修を行いました。パリでの研修では、エコールポリテクニーク大学によるMOOCでの事前研修でいかにアイディアを創出し、それを用いてどのようにビジネスモデルを作成し、社会実装していくのかのプロセスを学びました。そして事前学習で学んだことを、グループワークにて実際に実践し、そのビジネスアイディアをピッチとしてグループ毎に発表しました。アイディアを社会実装していくまでの過程では、プロトタイプを作成した後に第三者の視点でフィードバックをもらうことが必須であり、そのフィードバックを専門家の視点からもらえることはそうなく、大変貴重な機会でした。事前学習では最初にイノベーターが引っ掛かりやすい問題について紹介されていましたが、実際にビジネスモデル作りをやってみていかにそれを回避することが難しいか、そしてだからこそそれを意識してビジネスモデルを考えることがいかに大事かを実感することができました。

エストニアでの研修では、主に様々なIT技術が応用され成り立っている「電子国家」としての側面を学びにいきました。
タリン工科大学のウィンタースクールに参加し、実際に社会実装されている技術、それを応用するまでに直面した課題とそれにどう対処したのかなど、エコールポリテクニーク大学による研修よりさらに実用的な側面からDeep tech、DXを学ぶことができました。
日本での現状を振り返りながら学ぶことで今後につながるような着想を得ることができ、未来型医療創造に向けた非常に貴重な機会にもなりました。

今回の研修を通じて、どのようにアイディアを創出しビジネスモデルを作り社会実装につなげていくかの具体的なアプローチ方法、そして社会実装した先にどのような課題がありどう変遷していったのかの実例まで、幅広く体系的に学ぶことができました。今回学んだことを十分に生かし、医療という自らの専門分野だけにとらわれない広い視点で、「未来型医療創造」に尽力していきたいと思います。

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