未来型医療創造卓越大学院プログラム

2023年11月29日

レポート成果発表

合同メンタリング / Bio-Rad Laboratories, Inc., Digital Biology Group, Associate Director 上原輝彦先生(11/14 レポート 櫻井碧)

未来型医療創造卓越大学院プログラム生
医学系研究科 保健学専攻(博士2年)
櫻井 碧

名称:未来型医療創造卓越大学院プログラム 合同メンタリング
テーマ:シリコンバレーの組織・カルチャー及び求められるリーダーシップ
開催日程:2023年11月14日(火)17:00〜18:30
メンター:上原 輝彦先生
Bio-Rad Laboratories, Inc., Digital Biology Group, Associate Director

【実施内容】
シリコンバレー企業の製品開発過程において生じている課題、そしてその課題解決のために求められるスキルについて、ワークショップ形式でご講演いただきました。

世界経済の不透明感の高まりにより、全米のベンチャーキャピタルの投資額も低迷している。しかし、そうした状況下においても、シリコンバレーのライフサイエンス産業では活発な製品開発と上市が行われている。そこで課題となるのが、開発スピードと製品パフォーマンスの衝突である。投資家からのプレッシャーを受けながら製品開発を進める過程で、パフォーマンスにこだわる研究開発部門と、販売までの期間や生産量が重要となる営業・マーケティング部門というように部門間の激しい対立が生じてしまうのである。
この課題を解決するためには、まずは適切な要件を設定し、テストを行い、リスク分析とその対応策を文書化するという一連のプロセスを確実に行うことが必要である。また、シリコンバレーでは、各部門のプロジェクト範囲を明確化し、これをプロジェクトマネージャーが適切に管理するというハイブリッド型の組織構成が採用されている。

それでは、組織で働く個人としては、一体どのようなスキルが求められているのか。その答えは、 “自己問題解決能力=ハードスキル”と、“他者への影響力=ソフトスキル”である。経験値の浅い新人がチームをマネージメントする際には、特にソフトスキルを意識することが重要である。ソフトスキルとは、相手のニーズやモチベーションを理解して信頼関係を築くこと、伝達力を持って権威に頼らない方法で他者を動かすことである。ハードスキルは基本であるが、ソフトスキルは中堅からベテラン、管理者側になったとしても、組織の成功には必要不可欠な能力である。グローバルなリーダーシップのある人物は、こうしたスキルを併せ持っているのだ。

【所感】
組織におけるリーダーシップとは、多様性の中で、コミュニケーションを上手く取りながら決断し、実行に移すことであり、それは生まれながらの性格で決められるものではないという先生のお言葉に深く感銘を受けました。内向的、外交的などといった自己認識により、私達は自ら活躍の幅を狭めてしまっているかもしれません。一人一人置かれている環境が違っても、誰しもが社会の組織を構成する一員として生活しています。リーダーシップ、というと、大きな規模の組織で高い解決能力と牽引力を持ってプロジェクトを進める能力であるという印象から、修得するにも向き不向きがあると考えてしまいがちです。しかし、実はリーダーシップとは先天的な能力ではなく、根気強く他者を理解しようとする信念と行動力のもとに養われていくものなのだと学ぶことが出来ました。未来型医療創造卓越プログラムでは、異分野交流の機会も多いため、今回の学びを生かしていきたいです。

最後に、今回貴重なご指導をいただきました上原輝彦先生に深く感謝申し上げます。

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