未来型医療創造卓越大学院プログラム

2023年12月26日

レポート成果発表

合同メンタリング / アメリカ疾病予防管理センター(CDC) 神谷英美子先生(12/13 レポート 宋海倫)

未来型医療創造卓越大学院プログラム生
経済学研究科 経済経営学専攻(修士1年)
宋 海倫

名称:未来型医療創造卓越大学院プログラム 合同メンタリング
開催日程:2023年12月13日(水)17:30〜10:00
メンター:神谷 英美子先生(アメリカ疾病予防管理センター(CDC)HIV予防課上席主任研究官・国際緊急援助隊リーダー)

2023年12月13日(水)、神谷英美子先生の合同メンタリングにさせていただきましたので、ご報告いたします。
新型コロナ感染症対応から学んだ医療格差是正のためのAI・ChatGPT活用の可能性について、神谷先生がCDCのHIV予防課上席主任研究官及び国際緊急援助隊リーダーという仕事から得たノウハウや知恵をシェアしていただき、先生や学生との意見交換を行いました。

新型コロナ感染症の危機により、世界中においては色々変化が起こりました。その中、医療格差問題もまたより深刻となっています。日本で生活している我々は比較的に安心かと思いきや、データ上先進国に比べ日本における一回目以上ワクチン接種率が低いことがわかっているとのことです。さらに、メキシコ、チリや米国の一部地域ではより疾患にかかるリスクが高まっていました。したがって、是正の成果を繋げなければなりないと私も思いました。

そこで、CDCの実践から是正の成果につながるキーポイントは三つあると神谷先生は話されました。

一つ目は、「ノーマル化」であり、患者にとって、アクセスし易く、スティグマを無くすケアのことを指します。例えば、アメリカにでは、獣医、薬剤員、医療学生までワクチン注射を担うことが可能になっており、州単位で規制緩和を進める動きがありました。法改正やノーマル化行動のお陰で、米国民は空間的・時間的な制限をされることなく、身近でワクチンを接種できるようになっています。

二つ目は、「シンプル化」です。非常事態をめぐるヘルス情報の伝達では、正確か敏速か、詳細か簡潔か、それを兼ね合わせることは非常に難しいと言われています。CDCでは、医療で扱う情報ミスを減らし、変化へ迅速に対応するため、シンプルにワクチン接種のためのデザインをしました。そうすることで、余計な情報がなく、最も伝えたいことを国民に届けるようになっています。日本においても、情報システムのシンプル化を行うにあたり、まずは医療情報の重要度を整理すること、そして最も重要なメッセージを強調することが必要だと今回話を聞いて感じました。

三つ目は、AI・DXを通じたデジタル化による効率化であり、まさにこれからのトレントだと言えます。機械学習やディープラーニングなどの方法を利用することで、高精度かつ短時間で大量のデータの処理ができるからです。CDCはAI医療の研究に力を入れており、米国バイオ・ベンチャーキャピタルはポジティブに、AIが医療への応用の活動を行なっているとのことです。実際に、東北大の社会人在学生の内にも、AIを通じて地域医療連携のための患者紹介ベンチャーを発足しています。今後、AI医療が、「業務の効率化」や「精度と質の向上」、また「人手不足による作業の効率問題の改善」といったことへの貢献が期待されます。経済的効果と社会的効果が共に実現できるため、新技術によって市場規模はかなり拡大する一方、それに応じる知恵や研究の必要度は高まっていくと思います。

CDCの新型コロナ感染症への対応経験からこれら3つのキーポイントが抽出され、健康の社会的決定要因を考慮した上で医療格差問題が改善される余地があると神谷先生は話されていました。医療格差についてさらに国際的に見ると、新型コロナ危機以前から経済的に問題を抱えていた地域もあると私は思います。そういった社会インフラができていない開発途上国においては、医療従事者の管理や、ワクチンの運輸・保存などのインフラ整備など国際協力の視点も欠かせないと考えます。

最後に、今回貴重なご指導をいただきました神谷英美子先生に深く感謝申し上げます。

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