未来型医療創造卓越大学院プログラム

2024年05月30日

ニュースレポート

5月15日(水)FM DTS融合セミナー スタンフォード大学 医学部 主任研究員 池野文昭先生講演会「世界へスケールする持続的価値創造~世界で勝負できる人材とは~」を開催しました

5月15日(水)18:00-19:00、未来型医療創造卓越大学院プログラムFM DTS 融合セミナー(共催:臨床研究推進センターバイオデザイン部門・医工連携イノベーション推進事業)スタンフォード大学 医学部 主任研究員Med Venture Partners, Inc取締役チーフメディカルオフィサー 池野文昭先生の講演会をオンラインにて開催いたしました。
今回の講演では、最新データからみる国際社会とわが国の重要課題と今後の展望に関する見解、そして持続的な社会の実現においてグローバル人材育成がもたらす価値についてお話しいただきました。

前半では、世界へスケールする持続可能な価値創造に必要な要素と、世界で活躍する人材が押さえておくべき社会問題について解説されました。世界のリーディング企業は、単なる利益追求だけでなく社会的責任を果たすことが求められています。その中で、現世代のニーズを満たすだけでなく、将来の世代が同様にニーズを満たせるような資源利用、環境に配慮した技術的スキルの開発が特に重要視されています。グローバルなパートナーシップで活躍する人材になるためには、時代の潮流を世界規模で捉え、自国の状況を理解する必要があるといいます。少子高齢化による労働力の減少や国内市場の縮小、GDPの低迷など、日本の現状についてデータを通じて解説されました。

中盤では、危機的状況にある日本が再び世界で競争力を高めるための方策について、世界最新のエコシステムの実例と過去の日本の成功事例を交えて説明されました。国の発展のためには、グローバル市場を視野に入れた産業を創出するエコシステムの構築が必要不可欠です。日本では令和4年をスタートアップ創出元年として、本格的にスタートアップ・エコシステムの構築に向けた支援を開始しています。この機会に、かつての閉鎖的な島国根性を改め、海外市場への参入障壁を超えるチャンスが生まれる可能性についても言及されました。

後半では、日本国内で持続的価値創造を生み出す環境作りを推進する上で、大学が担うべき役割についての見解が示されました。革新的イノベーションにおいて異業種・同業種の企業間交流は重要ですが、実現が難しいという実情があります。そこで、オープンイノベーションの名の下に大学や病院が人材交流の場としての役割を果たすことで、新たな価値創造をもたらすエコシステム構築が可能になるという、今後のアカデミアの可能性を示されました。

今回は、池野先生の広範な国際的視野と、世界に誇るエコシステムを有するシリコンバレーで医療機器開発を牽引してこられたご経験から、社会的責任・環境への配慮・技術的スキル・イノベーション・パートナーシップの7つのキーワードをもとに大変刺激的なお話をいただきました。世界からみた日本の現在の立ち位置について危機的意識を持ったと同時に、わが国の先人が示してきた成功の法則と、これからの発展への道筋を先生に示していただいたことで、スタートアップ創設、ひいては新しい未来の創造への前向きな挑戦心を駆り立てられた講義でした。

本講演会は、卓越大学院プログラムに参加する学生の他、企業の方を含む幅広い領域から学内外503名の方々にご参加いただきました。

▲Page Top