未来型医療創造卓越大学院プログラム

2021年08月30日

セミナーニュース

7月28日(水)FM DTS融合セミナー 塩野義製薬株式会社 取締役副社長 澤田拓子先生講演会「産産学官連携-エコシステムの過去、現在、未来 ~ヘルスケア分野を中心に~」を開催しました

7月28日(水)18:00~19:00に、未来型医療創造卓越大学院プログラム(共催:臨床研究推進センターバイオデザイン部門)FM DTS 融合セミナー 澤田拓子先生(塩野義製薬株式会社取締役副社長兼ヘルスケア戦略本部長)の講演会をオンラインにて開催致しました。

<概要>
COVID-19は未曽有の感染拡大により社会経済的に大きなネガティブインパクトを与えた全世界共通の解決すべき最優先課題である。この課題解決に当たり技術革新やエコシステムの進化が大幅に加速した。その一例がワクチン開発である。従来であれば、1年間にこれだけ多くのプレーヤーを一つのプロジェクトに組込み機能させることは至難の業であるが、COVID-19を予防するワクチンを世界中に供給するという共通の目的のもと、それぞれのプレーヤーが自社のみの利益を追求するのではなく、協力体制を整えて行った結果として究極の産産学官連携によるエコシステムが成立し得たのである。
一方、日本がワクチンビジネスに出遅れた理由の一つとしてリスクベネフィットバランスの議論よりもリスクにフォーカスしやすいという固有の文化的背景と強力なエコシステムを発動させるために必要な基盤の未成熟が存在したと澤田氏は語られました。

また、今後のヘルスケアのあり方として、製薬企業は医薬品の提供の部分のみではなくトータルヘルスケアとしてみていく必要性がある。そして、COVID-19パンデミックにより世界の形が根底から変わってしまったことに伴い、医薬品産業も考え方を大幅に変えていく必要があると考える。将来構想として、業界の枠を超え多数の関係者がビジョンを共有して同じゴールに向かって連携することの重要性について、いくつかの事例をともにお話しいただき、「日本にエコシステムを根付かせましょう」というお言葉で締めくくられました。

講演後の質疑応答では、たくさんの学生、視聴者から質問が挙がりました。そのひとつとして、「変化が著しい製薬業界で求められる人材・スキルは何か」との質問に対して、「専門領域での強みと可能であればもうひとつコミュニケーションできるレベルの知識が必要である。全く違う分野の方々とコラボレーションすることが多くなってきているので、自分の領域だけでなく他の領域もカバーできるだけのキャパシティを持っている人が複数いると他の領域とのトランスレーションができる。また、デザイン思考をベースに持っていることも重要。」と回答いただきました。

本講演会は、卓越大学院プログラムに参加する学生の他、企業の方を含む幅広い領域から学内外443名の方々にご参加頂きました。

澤田先生、ご講演ありがとうございました。

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